眼が飛び出たうさぎさん
先日、眼が飛び出ているように見えるといううさぎさんが来院されました。
すぐに思いついたのは、胸腺腫と呼ばれる疾患です。
胸腺というのは、心臓の前方にあり、免疫をつかさどる臓器です。
通常、哺乳類では、生まれてから徐々に退縮していくのですが、うさぎさんでは、成長後も退縮せず、まれに胸腺腫が発生します。
胸腺腫が発生する原因は、わかっていないことが多いです。
胸腺腫が発生し、大きくなると、心臓や肺を圧迫し、呼吸が悪くなることがあります。また、前大静脈の鬱滞によって、瞬膜(眼頭にある膜)や目が飛び出ることがあります。
リンパ腫(癌の一つ)との鑑別のため、細胞診(針を刺して採材した細胞を顕微鏡で確認し、診断の一つとすること)を行うことも多いです。
胸腺腫の治療に関してですが、外科的な治療や放射線治療などが試されているものの、残念ながら有効な治療は確立されていません。しかし、ステロイド剤によって落ち着かせたりすることはできます。そして、リンパ腫であった際にも、ステロイド剤は有効と言われています。
眼が飛び出ると言えば
胸腺腫以外にも、眼下腫瘍、角膜炎や結膜炎といった炎症、なども鑑別診断に入ります。
また、興奮したときなどは、正常であっても眼が飛び出て見えることもありますよね。
少しでもおかしいことがあれば、教えてくださいね。
そして治療のことを一緒に考えていきましょう。
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