腹腔内膿瘍

消化管に膿瘍ができてしまったうさぎさんのお話です。


コハネちゃん 7歳女の子


10月頭、コハネちゃんはおしりがよごれやすく、病院内でいつものように毛刈りをしておしりをきれいにしていると、下腹部皮下にしこりを見つけました。


10月にしこりを取り除く手術を行いました。手術の際には皮下以外に腹腔内にもしこりを認めました。腹腔内のしこりは大きなしこりの他に多数の小さなしこりが大量に認められました。しこりは一部は取り、多くは残したまま閉腹しました。


11月にはそのしこりの数はもっと増え、大きくなっていきました。


しこりの原因は膿でした。

診断名は、「消化管膿瘍」です。


消化管膿瘍の原因は、

牧草などの消化管内容物による穿孔や、他部位からの血行感染によって発生します。

進行は緩慢であることが多いようです。


一般的に無痛です。


治療は外科的に切除、抗生物質の投薬です。


コハネちゃんは、数年前から腎結石による腎疾患の既往歴があり、今年の春には、腎数値の上昇に伴い、具合が悪くなったため入院しました。すぐに良くなって退院していきました。


また、9月には急性胃拡張を発症し、入院しました。

奇跡的に生還し、数日後にお返しすることができました。


そして、この度の手術です。

ウサギの消化管膿瘍は、血管を巻き込んでいるケースが多く、切除することによって広範囲の腸管が壊死してしまうことがあります。

また、血行性に膿瘍が多発しているケースだと、取ってもまた再発する可能性が高いです。

取り切らずに閉腹したのはそういった理由からです。


コハネちゃんは、今までの大きな病気も乗り越えてきました。

また、腹腔内膿瘍があるにも関わらず、元気食欲がしっかりあります。


よって、手術によってリスクを冒すよりも、内科的治療によって頑張ってもらうことにしました。



コハネちゃんのしんどさを緩和できるように、全力でサポートしていきます。

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