うさぎさんの麻酔について
今日はうさぎさんの麻酔についてお話しします。
うさぎさんに麻酔をかけるのは不安だなあと思われる飼い主様は比較的多くいらっしゃると思います。
また、多くの獣医師がうさぎの診察や処置を苦手にしていることも事実です。
私自身も、うさぎさんに麻酔をかけたときに、怖い思いをしたことが実際にあります。うさぎさんの麻酔リスクは犬や猫に比べて高いです。
その理由は
①口腔が狭く、また喉頭の解剖上、気管挿管が困難であること
②被捕食動物であり、強いストレスにより急死する可能性があること
③アトロピンが効きにくいこと
などです。
①口腔が狭く、また喉頭の解剖上、気管挿管が困難であること、について
気管挿管とは、気管チューブを気管に挿管することです。
動物のサイズによってたくさんの大きさの気管チューブがあります。
麻酔下で、呼吸が弱くなった時においても呼吸の補助ができます。
しかし、うさぎでは、気管挿管が非常に難しいです。何回も挿管を繰り返すと喉頭を痛めたり、実際に挿管ができたとしても、抜管後浮腫を引き起こすこともあります。
また、気管挿管に手間取っていると手術時間が長くなってしまいます。
②被捕食動物であり、強いストレスにより急死する可能性があること、について
うさぎは、被捕食者なので、捕食動物に捕まった時に痛みを感じる前に、ストレス(ショックによるカテコラミンの上昇)で息を引き取るメカニズムを持っているようです。
病院に来ること、手術室で人に処置されることにより、強いストレスを感じてしまうこともあると思います。
③アトロピンが効きにくいこと、について
アトロピンとは、薬剤の名前です。
麻酔をかけると除脈(心拍数が低下すること)になりやすいです。
その際、アトロピンを使用することで心拍数を増加させることができます。
しかし、うさぎは、アトロピンキナーゼと呼ばれるアトロピンを分解する酵素を持っているため、アトロピンの効果が減少します。
よって麻酔のリスクは他の動物よりも高いのですが、
どの程度高いのかというと200匹に1匹麻酔トラブルがあると言われています。(人:2万人に1人、犬猫2000匹に1匹)。
しかし、麻酔をかけなければいけない時もあります。
避妊手術や去勢手術において、麻酔をかけてもすべきメリットが大きいケースもあります。
麻酔は安全にかけたら問題は起きないケースも多いです。
明日は、また続きをお話しします。
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