ルモの避妊手術②~X線検査~
うさぎさんの検診において、X線検査、エコー検査、尿検査、血液検査などを一般的に行います。今日は、X線検査について記載したいと思います。
X線検査で主にわかることは、骨に異常がないか(骨折、脱臼など)、臓器に異常がないか(心肥大、肺水腫、胸水、腹水、肝臓腫大、尿石、ガス貯留など)、などですが、これはほんの一部であり、ここに挙げられないほど多くの情報を得ることができます。
X線検査の原理は、X線が物体を通過してフィルム面に到達したときのX線の数(量)と分布の差で画像化するというものです。物質の密度や組成する原子によってX線の不透過性が異なります。ですから、例えば、黒く写るものは全くさえぎりのないものである「空気」、白く写るものは密度の高いものである「骨」です。黒から白のコントラストの順番を記載すると、空気、脂肪、水や軟部組織(臓器)、骨、金属です。
ルモのX線写真です。まずは横から撮影したもので、左が頭側、右がおしり側です。
主に腹部を撮影したため、胸部はすべて写っていませんが、うさぎさんの胸腔は、犬猫よりも狭いです。
左(頭側)に写っている黒い箇所は肺。肺のおしり側(尾側)にあるのは肝臓。肺と肝臓の間は横隔膜で仕切られています。腹腔内には、肝臓、脾臓、すい臓、腎臓、膀胱、腸管があります。
ルモの腹腔内臓器に関しては、結腸に不透過性のもの(おそらく未消化物)がありましたが、そのほかは問題なさそうです。食欲不振や軟便もないので、経過をみることにしました。
続いて、骨についてです。背骨は肋骨がくっついている胸椎、腰椎、骨盤とつながる仙椎、そしてしっぽを形成する尾椎で構成されています。骨盤は大腿骨とつながる股関節を形成します。
ルモは、椎体(背骨)間の異常も、骨折や脱臼もなさそうです。
これはうつぶせで撮影したものです。
側面からとうつぶせ(または仰向け)の二方向から撮影することで、異常箇所を特定することができます。たとえば、尿石があった際、横からの写真ですと、右の尿管(膀胱、尿道)なのか、左の尿管(膀胱、尿道)なのかがわかりません。しかし、うつぶせの写真ですと、左右のどちらかを特定することができます。
検診のためにX線写真を撮ることは、何も言ってくれない動物たちの病気の早期発見につながるため、大事なことですね^^
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